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私は犬
第3章 【第1章】帰国
そして、同じ九宝姓だけれども、特別扱いされたくなくて、九宝との関係を隠しておきたいのなら、他言はしないし全力でそれを支援する。
真子ちゃんもその方がいいだろう?とも仰った。
なんだか、凄く理想的な条件のような気がする。
信託財産はお母さまの遺された遺産みたいなものだから、自分の財産も同然だし。それならば、おば様に負担を掛けずに済むだろう。
はなから仕事を選ぶつもりもなかったし。何より、九宝の名前のもたらす影響を受けなくて済む。
特別扱いされず、人並みに扱って頂ける所が、とても素敵だと思う。
これで、私が実は無能だと知られても……。孝徳さんの耳には届いてしまうかもしれないけれど…。
おば様には会社での事は全て黙っておいて欲しいとお願いすれば、きっと大丈夫だろう。
迷っている暇はない。
そう思って
「わかりました。よろしくお願いいたします」と頭を下げると
「こちらこそ、よろしく」と孝徳さんは口角だけをほんのりあげながら、微かに笑んだかのように見えた。
でもそれは、私の勘違いかもしれない。すぐに普通のお顔に戻ってしまわれたから。
おば様も顔をキラキラさせながら喜んでくださっている。
それを見て、自分の決断が間違いではないと確信する。そして、おば様を悲しませる事にならなくて、本当に良かったと胸を撫で下ろした。
真子ちゃんもその方がいいだろう?とも仰った。
なんだか、凄く理想的な条件のような気がする。
信託財産はお母さまの遺された遺産みたいなものだから、自分の財産も同然だし。それならば、おば様に負担を掛けずに済むだろう。
はなから仕事を選ぶつもりもなかったし。何より、九宝の名前のもたらす影響を受けなくて済む。
特別扱いされず、人並みに扱って頂ける所が、とても素敵だと思う。
これで、私が実は無能だと知られても……。孝徳さんの耳には届いてしまうかもしれないけれど…。
おば様には会社での事は全て黙っておいて欲しいとお願いすれば、きっと大丈夫だろう。
迷っている暇はない。
そう思って
「わかりました。よろしくお願いいたします」と頭を下げると
「こちらこそ、よろしく」と孝徳さんは口角だけをほんのりあげながら、微かに笑んだかのように見えた。
でもそれは、私の勘違いかもしれない。すぐに普通のお顔に戻ってしまわれたから。
おば様も顔をキラキラさせながら喜んでくださっている。
それを見て、自分の決断が間違いではないと確信する。そして、おば様を悲しませる事にならなくて、本当に良かったと胸を撫で下ろした。