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私は犬
第29章 諦めろ*
食事と入浴を済ませて、すっかりご無沙汰しているピアノの前に座った。

リビングにある、マホガニー材のベヒシュタイン社のグランドピアノは、お母さまの形見。外装には象嵌細工が施されていて、とても美しい。置くだけで絵になるピアノだと、お母さまもことの他、愛していらした。

これとポーター社のディスクオルゴール位しか、お母さまを偲ぶ品は残っていない。後は、ヴィンテージのシャネルやディオールのお洋服。セリーヌとかもあった気がするけれど、流行が違うから着れないと思う…。

ゆっくり譜面を捲って、好きな曲を選ぶ。入居前に厳重な防音を施すように改装して下さったお陰で、こうしてピアノを弾く事が出来る。

真下は剛ちゃんのお家だし。前に聞こえないと教えてくれた。万が一、ほんの少し響く事があったとしても、多分、大丈夫ね。

孝徳さんにお任せして本当に良かった…。

お母さまは、寂しくて悲しい曲ばかり弾いていた…。ヴェートーベンの嘆きの歌や悲愴、ラフマニノフのエレジーやヴォカリーズなんか。

ショパンのノクターン遺作なんか、涙が出ちゃうような演奏だった。

サティのジムノペディ1番にしようかな。同じ静かな曲でも、これは泣きたくならないもの…。
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