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私は犬
第30章 主導権*
苺シロップのようなペディキュアを施した足の指先が、有史さんの口の中へ消えていった。

「やめて。足なんか舐めないでっ!」

必死にそう訴えたのに、次々に指先が口の中へ吸い込まれるように消えてゆく。

「暴れんなよ。怪我させなきゃ、好きにしていいんだろ?」

挑発するかのように、私の目をじっと見つめながら、赤い舌で足指を口に含んでねぶり続けた。

「汚いから嫌っ…。」

「うるせぇ…。」

ああ…。怖い有史さんのスイッチが入っちゃった…。

有史さんは、縄の束を掴むと、私の片足を折り畳んで縛り始めた。畳まれた脚の、上、下、真ん中の3ヶ所に、ぐるぐると縄が巻かれ、それぞれにしっかり閂が入れられた。

そうやって、縛り上げた脚の、膝下の余った縄がチンニングバーに固定された。背面の縄も、ついでのようにバーに固定されてしまった。

両手で吊るされて、片足の爪先で立っている……。不安定な姿勢のバランスを正そうと身を捩ると、ショーツの上に這わされた縄が、おマンコに食い込む。

「はぁ〜っ。お前、スッげぇ綺麗…。」

有史さんは、しゃがんで下から見上げながら、甘美さを含む口調でそう呟いた。

「怪我させねぇから、好きにさせろよ…。」
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