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私は犬
第32章 我慢の限界*
出発前に…。とお母さまのお部屋に入った。来年で10年…。お母さまが亡くなって以来、誰も使っていない筈なのに、部屋の匂いを嗅ぐと、未だにお母さまの匂いがしているような気がする…。
クローゼットの扉を開けて中に入ると、主を無くした洋服達が、綺麗にぶら下がっていた。大きく息を吸い込むと、やっぱりお母さまの匂いがした…。
日本で暮らしていた家は処分してしまった。今ではマンションが建ってしまって、当時の面影はどこにも無い。売らなければ良かった…。でも、売却を決めた時は2度と見たくないとそう思っていた。人の気持ちはコロコロ変わる。今さら後悔しても何も始まらないのに。
ベルベットの菫色のカーテンを閉めて、ウォールナットの家具達を撫でて、部屋を出た。このマスターベッドルームは、ずっとこのまま残しておこう。
リビングに降りると、ぐったりした顔の剛ちゃんが座っていた。
「お待たせ…。わたし夕べは飲み過ぎちゃったわ。アルメリコとフレディ・マーキュリーの話ししたら終らなくて…。」
「あの、スモーク・オン・ザ・ウォーター歌った人達?」
「違うわよっ!それ歌ったのはディープ・パープルっ!フレディ・マーキュリーはクイーンよっ。痛たたたっ…。」
クローゼットの扉を開けて中に入ると、主を無くした洋服達が、綺麗にぶら下がっていた。大きく息を吸い込むと、やっぱりお母さまの匂いがした…。
日本で暮らしていた家は処分してしまった。今ではマンションが建ってしまって、当時の面影はどこにも無い。売らなければ良かった…。でも、売却を決めた時は2度と見たくないとそう思っていた。人の気持ちはコロコロ変わる。今さら後悔しても何も始まらないのに。
ベルベットの菫色のカーテンを閉めて、ウォールナットの家具達を撫でて、部屋を出た。このマスターベッドルームは、ずっとこのまま残しておこう。
リビングに降りると、ぐったりした顔の剛ちゃんが座っていた。
「お待たせ…。わたし夕べは飲み過ぎちゃったわ。アルメリコとフレディ・マーキュリーの話ししたら終らなくて…。」
「あの、スモーク・オン・ザ・ウォーター歌った人達?」
「違うわよっ!それ歌ったのはディープ・パープルっ!フレディ・マーキュリーはクイーンよっ。痛たたたっ…。」