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私は犬
第33章 さよなら
お爺さんは自分が帰らない時は、犬だけ帰して寄越す。魚が釣れなかったとか。お友達とカードをしてて帰れないとか。ロルフだけ帰される理由は様々だけど、
『ロルフおいで。身体を洗ってあげる。また白い毛まで真っ黒にして…。これじゃゴミと見分けがつかないわ。』
『あの爺さんに飼われたのが運の尽きさね。ロルフだって諦めてるだろうよ。もうすぐ晩ご飯だよ。あんまり遠くに行くんじゃないよ。』
キッチンからお湯を運んで、タライに溜める。湖畔のほとりでロルフの首の駕籠を取り外すと、中には釣り餌の残りのチーズが入っていた。チーズの匂いを嗅ぎながら、ここまで運んできたんだ。食べたかっただろうな。
『ロルフ、チーズ食べたい?』
ワンッと返事をしたロルフに小さなチーズの欠片をあげる。相変わらずの丸飲みだ。
『美味しい?』
と聞くと、またワンッと答えた。嘘つきめ。丸飲みして味が分かるわけないじゃないの。
ロルフを洗い終えると、湖の向こうで遠くの山々が、茜色の空にぽっかり浮かび上がっていた。いつ見ても絵画のように美しい…。
うちにはプライベート海岸ならぬ、プライベート湖岸があって、湖岸には、小さな釣り舟が乗り上げている。
『明日はお爺さんと3人で、お舟に乗ろうか?』
ワンッとロルフが返事をした。
『ロルフおいで。身体を洗ってあげる。また白い毛まで真っ黒にして…。これじゃゴミと見分けがつかないわ。』
『あの爺さんに飼われたのが運の尽きさね。ロルフだって諦めてるだろうよ。もうすぐ晩ご飯だよ。あんまり遠くに行くんじゃないよ。』
キッチンからお湯を運んで、タライに溜める。湖畔のほとりでロルフの首の駕籠を取り外すと、中には釣り餌の残りのチーズが入っていた。チーズの匂いを嗅ぎながら、ここまで運んできたんだ。食べたかっただろうな。
『ロルフ、チーズ食べたい?』
ワンッと返事をしたロルフに小さなチーズの欠片をあげる。相変わらずの丸飲みだ。
『美味しい?』
と聞くと、またワンッと答えた。嘘つきめ。丸飲みして味が分かるわけないじゃないの。
ロルフを洗い終えると、湖の向こうで遠くの山々が、茜色の空にぽっかり浮かび上がっていた。いつ見ても絵画のように美しい…。
うちにはプライベート海岸ならぬ、プライベート湖岸があって、湖岸には、小さな釣り舟が乗り上げている。
『明日はお爺さんと3人で、お舟に乗ろうか?』
ワンッとロルフが返事をした。