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氷解
第1章 氷解
「お嬢様...?」
「そうよ...いつだって、周防は....私を子供扱いする。今も、私を子供扱いして...男も誘惑もできない子供だと、私を馬鹿にしているのね...」
「なにを...」
「私は、男とキスだってした事もある...雅美みたいに周防を誘惑することだって出来るわっ! 子供だって、馬鹿にしないでっ!」
感情は、爆発させてしまった陽菜子は
「子供扱いしないでよっ!」
悲痛の叫び声を上げ放つと、周防は目を見開いた。
「お嬢様...今、キスをした事が...あると仰いましたか?」
「ええ」
陽菜子は挑むような視線を、周防に向けて答えたのだが、周防は無表情のまま、低い声を放つ。
「誰とですか? もしかして、あの男ですか?」
周防のその低い声、怒りを堪えていたのだが、それに気づかない陽菜子は
「そうよ...」
ふてくされるように、聡とキスをしたと答えた。