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第3章 ＊深之side＊

(でも…俺はこの顔見たさに菓子作りに凝りだしたんだよな)

父親を亡くして泣いてばかりいたアユミを元気づけたくて、パンケーキを焼いてやったのが そもそものきっかけだった。母親が浮気して家を出ていってから、俺はカンタンな料理くらいなら小学校低学年のうちから作っていた。
ホットケーキミックスを使えばすぐ出来るそれを、アユミは満面の笑みで平らげた。

それからというもの、アユミが食べたいと言うものは図書館などでレシピを調べて作ってやるようになった。もちろん子供では手に入らない食材や調理器具もあるから難しいものは出来ないが、アユミを喜ばせるために色々工夫したものだ。

(我ながら、いじらしい子供時代だったな…)