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心雨~愛を探して~
第1章 序章
やっと出てこれた。あの日、俺は村山(ムラヤマ)のことを守れたのだろうか。いや、本当の意味では何ひとつ守れてやしない。むしろ、傷つけてしまったのではないか。俺は、怯えている。
「ありがとう……成瀬くん。でも……ごめんね」
村山の頬を伝う一筋の涙。違う、泣かせたかったわけではない。
今日は泣いてないだろうか。ご飯はちゃんと食べているだろうかずっと心配していた。
今日、俺はやっと此処を出れる。狭い少年院という世界から。
俺は、電話をかけた――。