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恋はどこからやってくる?
第7章 ずっと
「あ、春海さん」
駅のロータリーに見慣れた後ろ姿を見つけ、紺野は早足でそのあとを追った。
柏木は相変わらずのきびきびとした足取りで、人混みのロータリーをサクサクと抜けると、自転車から降りた年配女性やベビーカーを押した主婦に混ざり明るい店先へ吸い込まれていく。
「あ…、買い出しかぁ」
スーパーでカゴを持つサラリーマンは、主婦ばかりの店内では異邦人のように見える。
OL風の若い女が、そんな異邦人にチラチラと視線を送っている。それに気付いたのか柏木は、大きく巻かれたマフラーに顔を埋めてしまった。
──うは、イケメンゲイって大変だな
紺野はそんな柏木の様子を遠目で楽しんでいた。
青果コーナーで白菜や長ネギ、キノコ類をテキパキとカゴに入れ、隣に並んでいたたくさんの鍋のもとを右から左へ見渡したあと、迷いなくひとつを放り込む。
──ぷっ、男らしいよなぁ、ああいうとこ
根菜類の棚に移動すると、柏木の動きが初めて止まった。
──あ! ちょっと! 人参はやめて!
手に取った袋を暫し眺めた柏木は、それをそっと棚に戻す。
その横顔が。
──わ、すっげえ優しい顔!
宝物をみつけたような暖かな気持ちが、心のポケットに増えていく。
──幸せって、こーゆう日常にポコっとあるもんなんだよなぁ
駅のロータリーに見慣れた後ろ姿を見つけ、紺野は早足でそのあとを追った。
柏木は相変わらずのきびきびとした足取りで、人混みのロータリーをサクサクと抜けると、自転車から降りた年配女性やベビーカーを押した主婦に混ざり明るい店先へ吸い込まれていく。
「あ…、買い出しかぁ」
スーパーでカゴを持つサラリーマンは、主婦ばかりの店内では異邦人のように見える。
OL風の若い女が、そんな異邦人にチラチラと視線を送っている。それに気付いたのか柏木は、大きく巻かれたマフラーに顔を埋めてしまった。
──うは、イケメンゲイって大変だな
紺野はそんな柏木の様子を遠目で楽しんでいた。
青果コーナーで白菜や長ネギ、キノコ類をテキパキとカゴに入れ、隣に並んでいたたくさんの鍋のもとを右から左へ見渡したあと、迷いなくひとつを放り込む。
──ぷっ、男らしいよなぁ、ああいうとこ
根菜類の棚に移動すると、柏木の動きが初めて止まった。
──あ! ちょっと! 人参はやめて!
手に取った袋を暫し眺めた柏木は、それをそっと棚に戻す。
その横顔が。
──わ、すっげえ優しい顔!
宝物をみつけたような暖かな気持ちが、心のポケットに増えていく。
──幸せって、こーゆう日常にポコっとあるもんなんだよなぁ