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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第36章 妻が突然いなくなったら?~時代劇 その木戸を通って より~
それからもしばらく穏やかな日々が流れましたが、やがて、ふさは

 ある日突然、いなくなりました。

 そして、乳飲み子を残したまま、二度と清四郎の元には戻ってきませんでした。

 ドラマは、ふさの失跡から十七年たち、残された一人娘が十七歳で晴れて

 嫁いでいく日を起点として始まります。

 そこから、年老いた清四郎がふさと出逢った若き日を回想する形で

 進みます。

 最後に話は再び今に戻り、娘の祝言の日が描かれます。

 見終わった後、心に残るこのやりきれなさは何なのでしょうか。

 原作は知らないのですが、結局、ドラマでは、ふさが清四郎と出逢うまで

 どこで何をしていたのかはまったく触れられていませんでした。

 ただ、ふさが物音に異常に過敏に反応すること、

 笹の道を通って、その木戸を通ってというひとことだけが

 彼女の過去をわずかに物語るだけです。

 清四郎も推察したように、恐らく、ふさは竹林のある庭つきの家に住んでいた

 ことがあり、その庭を通って木戸を出てきたのでしょう。

 しかし、それだけでは何のことか判りません。

 私はドラマを見ながら、ふさは既にその時、人妻で暴力夫から逃れてきたのだとか

 色々考えたのですが、

 残念なことに、まったく彼女の過去は最後まで明らかになりませんでした。

 
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