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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第112章 紫陽花の咲く頃には
『紫陽花の咲く頃には』

紫陽花の咲く季節には思い出す
命の重さ 生きる喜び
そう あれはもう13年も前
末っ子を出座するまでいよいよ2カ月というある日
体の変調を感じた
顔の右半分が突然動かなくなり
絶望感しかない日々の中
病院に行く途中の川沿いにひっそりと紫陽花が咲いていた
折しも雨上がりの空が湖のように晴れ渡り
ひと筋の光が深く染め上がった花を照らし出し
その場所だけが際立っていいた
エメラルドグリーンの葉に乗った雫が初夏の日差しに水晶のように煌めき
なぜか涙がが止まらなかった
今まで何気なく見ていた風景に涙が溢れた
生きているのは幸せだと
こんなにも美しいもの綺麗なもので世界は溢れていると
たたった一輪の花がそつと教えてくれた

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