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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第118章 三日月
『三日月』

一歩外に出た瞬間
スッと身が引き締まったのを感じた
大気が昨日までとは微妙に違うことをふと自覚するとき
人は季節(とき)のうつろいを肌で憶えるものなのかもしれない
見上げた空は淡い水彩絵の具でむらなく塗ったような薄い蒼
はるか高みに小さな小さな三日月が沈黙を守り続けている
まるで そこだけ切り絵を貼り付けたかのように白っぽい月
「始まりの月」といえば
新月をイメージするべきなのだろうが
私は何故か三日月を思い浮かべる
ほんの少しだけ ふくらみかけた稚(いとけな)い月が
これから始まる果てしない未来への大きな希望と
先の読めないことへのわずかな不安を表しているような気がするのだ
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