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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第151章 錦木
父の葬儀の日
錦木が真っ赤に紅葉していたと
母は老いた今もなお時々思い出したように語る
そのとき私は十八歳
庭の錦木の記憶は一切なく
ただ父の棺が幾人かの人たちによって静かに運び出されるのを
黙って見ているしかなかった
既に物言わぬ変わり果てた姿となった父はこの世の人ではないと
残酷すぎる事実を嫌になるほど知りつつも
父の肉体がこの世から本当に消えてしまうのだと思った瞬間
涙が堰を切ったように溢れ出した
棺にしがみついて
行かないで欲しいと懇願したくてもできなかった
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