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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第154章 「令和元年の年の瀬~息子が高野山に還る日に~」
Ⅱ「高野山」

かつて餅つきが行われていた時代から
気の遠くなるような歳月が流れ去った
今日 高野山で修行中の息子がいよいよ御山に戻る
どことなく朝から沈んでいる息子に
私は思うままを告げた
―時間は確実に前に向かって流れている。あなたは後3年、御山で自分の学ぶべきこと、やるべきことをきちんとやり遂げてきなさい。あなたが一人前になるのを家族全員が愉しみに待っているよ、その日のために皆それぞれ頑張って待っているから。
たまの帰省が終わり故郷を離れがたく思う気持ちは
私自身 いやというほど判る
何を隠そう私もまた30年昔は親元を離れて大学に通っていたからだ
けれど 故郷を離れて積んだたくさんの経験は
今の私のまとたない得難い財産となっている
学生時代は一日も早く故郷に戻りたい一心だったけれど
離れて暮らした時代を懐かしく記憶に甦らせる日が必ず来る
今 自分が感じている想いを
かつての若かった自分に教えてあげたい
初めて我が子を手放した令和元年もあと二日で終わり
令和二年を迎える直前
息子はまた高野山に戻ってゆく
旅立つ前は親も子も辛いが
また次に逢える日を愉しみに頑張ろう
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