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第1章 12/01公開分

　
『桜のような人』

桜が散る頃でした
あなたからの手紙が届きました
お仕事は順調のようで何よりです
会えるのを楽しみにしています

遠く離れて暮らさなければならない
そんなあなたを疎む日もありました
どこかほんのり都会の香りがする
あなたに嫉妬していたのです

笑顔を絶やさず穏やかなあなたも
私の知らないところでは怒り
顔をしかめる日もあるでしょう
私の返事はそんな日に
あなたの支えになるでしょうか

桜が散った頃でした
手紙が届きました
また遠くへ行ってしまうのですか
私と顔も会わせていないのに

初めて会ったその時
知らない香りに遠慮して
私は握手も出来ませんでした
あなたは苦笑いして 手を引っ込めて
そんな小さな後悔が 溢れ出します

どこで手を掴めば
あなたはここへ 残ったのでしょうか

私の手紙はどこへ送ればいいでしょうか
千切って投げれば届くでしょうか
風に飛ばせば届くでしょうか
海へ流せば届くでしょうか
桜の花びらと 共に飛ばしましょう
あなたは桜のような人でした