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エンブレム──奴隷契約編
第1章 序章
名門「○△学園」で数学教師を務める田島は今年で28歳になる独身男性だ。
彼はその生真面目な性格とレスラー並にマッチョな体格を買われ、この学園に赴任して以来生活指導を担当していた。
体罰をも辞さない強引な指導から彼は「鬼の田島」と呼ばれ、全校生徒のみならず教職員や父母からも恐れられていた。
そんな熱血漢の田島だったが、彼はニ年前から人に言えない恋の悩みを抱えていた。
あろうことか田島は女子生徒の一人に心を奪われてしまったのである。
生徒の名は麻美(あさみ)。
二年前の入学式、百人を超える新入女子生徒の中に麻美を見た瞬間、田島は心底「美しい女だ」と思った。
美しい女─── と言ってもそれは見た目の事ではない。
田島が美しいと思ったのはブレザーにニーハイ姿といった、アニメに出てくるような制服姿の麻美でもなく、 丸顔に大きな目とアヒル口といった可愛い系の麻美の顔でもなかった。
仕事柄、今まで飽きるほど女子校生を見てきた田島にとって、そんなものは“美”の対象ではなかったのだ。
実のところ田島自身、なぜ麻美が美しく見えてしまったのかわからなかった。
だからこそ彼は二人の出会いを「運命」だと思い込んでいた。