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捨て犬
第13章 聞かないで
その日は
会社の飲み会だった


そんなに飲み会のある
会社じゃないから
俺が遅くなるの
久しぶり


世話になった上司の送別会で
明日は休みってこともあって
俺は終電に乗ることも許されず
最後まで付き合わされた


もう3時だよ……


結局
かなり酔ってしまった俺は
階段を静かに上がる事も出来ず
大きな音を立てながら帰宅


ドアの前で
ポケットに手を突っ込み

え~っと・・

鍵は・・・



ガチャ


「あっ」


俺が鍵を見つける前に
勝手にドアがあいて
エミが顔を見せた


「おかえりなさい」


「エミぃ~
ただいまぁ~」


「あ、カ、カズマ・・」


俺がエミに抱きつくと
エミは倒れそうになったけど
俺はエミから離れたくなくて
抱きついたまま


「待ってたのか?
なぁ、俺のこと待ってたの?」


「うん」


「寂しかったか?
俺、遅かったから寂しかった?
なぁなぁ、エミ、寂しかった?」


寂しかったって
言ってもらいたい




「うん」


「そーか、そーか
ごめんな?
もう一緒に居てやるからな!
エミぃ〜…」


そっからのことは
あんま覚えてない


多分
エミにつかまりながら
ベッドへとなだれ込み

俺は
スーツを着たまま

眠っちまったと



思う














だって

次に気がついた時には



カーテンの隙間から

まぶしい日差しが

降り注いでたから

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