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捨て犬
第15章 目、つむって・・・
さすがに
キスはできなくて

玄関のドアをしめたら
すぐに
キスしようと思いながら

俺は
腰に腕をまわしたまま
エミと歩いた



階段を上がり
玄関のカギを開ける


中に入って
ドアを閉めると
靴も脱がずに
俺はエミを抱きしめた

そして

優しい…キス

俺は
エミの髪に頬をすりよせながら
エミの名前を呼んだ


「エミ・・」


「……」


「エミ…」





「会いたかった・・」




それが
聞きたかったんだ

俺。



なぁ
エミ

抱き合うって

こんなに
心地よかったかな




色んな女
抱きしめたことあるけど


心全部が
溶けながら熱くなる
こんな感覚

初めてだよ



「中、入ろうか」


「うん・・」


靴をぬぐと

すっ…と
エミが手をつないできた


甘えていいよ
いっぱい


…ん?



今気がついたけど

部屋中が
美味しそうな香りに
包まれていた


萩原のおばさんから
パンの話を聞いたことは
エミには内緒


エミが
どんな風に
俺に説明するのか
聞きたかったから。





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