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捨て犬
第15章 目、つむって・・・
「うわっ、すげーじゃん
こんなの出来んの?
超うまそ~」


テーブルの上には
皿に盛られた
バターロール

ちょっとツヤのある
バターロールは
本当に美味しそうだった


「あ、でも
手伝っただけで
おばさんが作って・・」


「エミ手伝ったんだろ?
それでいいじゃん
俺、うれしいし」


「カズマ・・」


「食ってもい?」


「うんっ」


「エミ、おいで」



俺はいつもの場所に座り
いつものように
エミを座らせて
しっかりと
エミを背中から抱きしめた

そして
目を閉じて
エミを感じながら
一呼吸

たったそれだけで
俺は心底癒されるんだ

それが終わると
パンを手に取り
エミを抱きしめたまま
パンを口に運んだ


「うまい・・

うまいよエミ!

ありがとな…エミ」




ほんとうに
うまかったんだ


でもさ

飲み込みづらかったよ



一口食べたら
また喉が痛くなっちゃって



なんで
泣けてくるのか
わかんねー


なんで
こんなに
エミが好きなのか


わかんねー。






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