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捨て犬
第19章 見せらんねーのかよ!
次の日

エミに
新しいコートを着せ
それから
少しだけグロスを塗らせて
俺たちは
デートに出かけた

映画にでも行こう

俺は
エミの手を握って
駅まで向かう間
そんな普通のデートに
心を躍らせていた

晴れ渡った空のような
そんな一日がはじまると
期待してたからだ

けど

電車に乗ると
いつもなら
向かい合わせで
俺の前に立つエミが
珍しく
俺に背中を向けて立った

グロス塗ってることが
まだ恥ずかしいんだろうか

けど
なんか…引っかかる

エミは
朝から様子が変なんだ

っていうか
昨日、由香ちゃんと
買い物に出かけてから
エミは何かが違う

由香ちゃんと
何かあったのかな…。

「エミ?」

「なに?」

エミは
俺に背中を向けたまま
返事をした

「外が見たいのか?」

黙ったままエミは頷づく

「俺はエミが見たいから
こっち向いて?」


「………」


ちょっと間を置いてから
エミは振り向いてくれたけど
うつむいたまんまで
顔を見せてはくれない


「エミ?
昨日……なんかあった?」


うつむいたまま
顔を左右に振るエミは


「なんか…

俺、嫌われちゃった?」


今度は
大きく左右に首を振った


「それなら…よかった。

嫌われてなくて
安心したよ」


仕方ない

なんか
わかんねーけど
問いただしても
様子がおかしい訳を
言ってくれなさそうだし

エミ自身
それを理解できてるのかどうかも
わからない

とりあえず
そっとしとくしかないかな


俺は
しばらく様子をみることにした


ちょっと
さみしいけど


だってさ

エミから
俺に甘えたり・・触れたり
しなくなっちゃったんだ


昨日から

ずっと


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