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掌の官能小説
第18章 発射オーライ
僕のスマホが鳴りだした。
ふと気づくと、もうお昼になるところだった。

「や…やばい!」
会社からの電話だった。

「はい…あ…すみません。電車?もう走って?あ…と…途中で体調崩した人がいて…はい…介抱して…ん…はい。すぐに向かいます。」

僕はサッとシャワーを浴び服を着た。
彼女は慌てた僕を見ながら笑っていた。

「君、大丈夫?仕事。」

「私も行かないと。じゃ、先にどうぞ。」

僕は5000円を置いて部屋を出た。

5000円は必要なかったか?
5000円じゃ足りなかった?
ホテル代にはなった筈。
デリヘルではあり得ない金額だし…

会社に向かう途中いろいろ考えていた。


僕は会社に着き、上司と共に打ち合せに向かった。
もう仕事モードに入り、頭の中からさっきまでの事は抜けていた。

「時間を変えていただき、申し訳ございませんでした。」
僕はお辞儀をした顔を上げると、さっきの女性がいた。

僕の顔を見ても、知らない人を見る目だった。
彼女は無表情で淡々と仕事の話しをしていた。

別人か?
いや…服装は彼女と同じだ…
僕の事に気付いてない?
気付いてないのか?
さっき会ったばかりなのに?

僕は仕事の話しは頭に入らなかった。

休憩中僕がトイレに立つと、彼女もトイレに立った。
そして、二人だけになるといきなりぼくの股間を掴んだ。

「な…なにを…」
僕が引くと、彼女はにっこりと無言で笑顔を浮かべた。


その後も彼女は無表情で淡々と打ち合せに参加し、仕事が終わってからも、僕には話しかけもせずに目も合わせずに帰っていった。


それからも打ち合せでたまに会ったけど、僕とは仕事の話し以外はしなかった。

毎日僕は彼女の事を考えていた。

あの日の事は無しという事か…
残念なような、寂しいような…


ある日通勤電車で急に股間を掴まれ、僕はその手を掴まむと、彼女だった。
彼女は僕の手を掴みあの時の駅に降り、にっこりと微笑んだ。


「すみません。体調崩した人がいて…」
僕は会社に遅刻連絡を入れながら彼女を思い切り突き上げた。



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