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The one …ただ一人の…
第9章 退院祝い
「曄良っ、大丈夫か…?」
小さくコクリと頷く。
「ごめん…優しく出来なかったな」
そう言って、肩を後ろから抱きしめると首筋にキスを落とす。
「曄良…。」

『いやだった?』
不意にそう言うと曄良が真っ赤になって俯いてる。
「なにが?」
『え…っ…と。あの…口で…やっぱりいい』

曄良が言いかけてやめた言葉を察し、後ろからからギュと抱きしめる。

「嬉しかった。」

『本当?』
「本当だよ…でも、ムリしないでね。オレは曄良が気持ちいいのが一番だから…ね。」

そう言うと、もう一度シャワーで身体を流し、バスローブを羽織ってリビングに行く。

日向はコップに冷たいミネラルウォーターを入れて来てくれた。

「水分補給して。」
『んっ。ありがとう。』
「なんなら口移しでも」

もうっ、と言って、日向に背中を向けてソファーに座る。
すると、背中にもたれ掛かるようにして、日向がソファーに座ってくる。

「曄良…。」
『ん?』
「背中、痛くない?」
『痛くないよ…』
「そっか。」

日向がゆっくりとソファから立つと、窓際に目をやる。
顔だけそっちに向けた曄良は、なんだか日向が泣いている様に見えて。

『日向。』
そう言って、後ろからギュっと抱きついた。

『泣いてるの?』
「……」
『どうしたの?』
「…この前。ここで守ってやるなんて偉そうな事いって、守れなかったなぁって。曄良、痛かったよね。ごめんな。」
『日向のせいじゃないよ』
「でも…」
『助けに来てくれたよ。』
「ん。」
『目覚めない私に、毎日キスしてくれた』
「…!!」
曄良は日向の頬にキスをする。
『大好きだよ。』
「ありがとう…。曄良。」
といって、振り向くと啄むようなキスをする。
そっと離すと互いに見つめ合う。
日向は曄良の手を取ると、そっと引き寄せた。
曄良の髪に顔を埋め、耳元で囁く。
「ベットに行くよ。」
潤んだ瞳とほんのりピンクに染まった頬で見上げる曄良は、コクリと頷いた。
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