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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第11章 ツカマエタ
「入学したての時にたくさん話を聞いてもらったけれど、…でもスミヤさんの話は、あまり聞けなかったから」
「…そうだったかもね」
「それきり会ってなかった、わたしはまだ…っ スミヤさんの事をよく知らないんです…!」
考えてみればスミヤと彼女は会って間もない。
十日前に話したきり…
その時だって、その話題はほとんどミレイの事だった。
だからミレイは彼の事に詳しくないし
そんな状態で返事なんてできない。
「──…」
それを、伝えたら
「……僕の事、知りたい?」
立ち上がったままの彼が、見下ろしながら尋ねてきた。
夕日の逆光で顔に影がかかっていたけれど
だからよく見えなかったけれど
優しい声だったから…きっとその表情も、優しいに違いないと彼女は思った。