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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第25章 書庫

「……!!」
ミレイは彼に気付いて立ち止まった後、急いで顔を背けた。
自分の心臓が跳ね上がったのを感じたからだ。
“ カルロさん…… ”
彼を見るのはあの日ぶりだった。
もともと家にいること自体が珍しい人らしいから、どこか外に出ていったのかと思っていた。
ここにいたんだ…。
落ち着いた風合いの木調本棚が並ぶこの部屋…
ミレイは懐かしむ目で、眠る彼を眺めた。
カルロさんはいつも寝ている。
彼は毎日の大半を…夢の中で過ごしているのか。
それを考えると、どんな夢を見ているのかが気になってくる。
「……?」
そう思って近付いたミレイは、彼の顔を覗きこんで顔を曇らせた。
カルロは眉間にシワを寄せ、その表情は決して安らかなものではなかったから──。
こめかみに滲んだ汗も、彼の穏やかでない眠りを象徴している。
夢の中でさえ、彼は苦しまないといけないのか。
ミレイはとても悲しくなった。

