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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第28章 奪回

すぐにパニックにならなかったのが救いだった。
参加者達は驚きながらも冷静につとめている。
「どこから撃たれた!?」
「この部屋は50階。これに並ぶ高さのビルは周りにない筈なのに…っ」
「下から狙撃したのか?まさか」
「襲撃にそなえて外は厳重に見張りを置いているんだぞ!?」
慌てているのはむしろ警察の人間だ。
そんな状況で前に出てきたジンは天井を見上げて、照明の横にめり込んだ黒い物体を指差す。
「──…銃弾はあそこだ、あの角度は…」
銃弾の場所から、発砲場所を絞りこんだ。
「あの辺りか」
「あんな…っ…遠くから…!?」
示した場所に高いビルはない。
せいぜい10階建てのビルの屋上に──
「……!!」
微かに、人影が見えた気がした。
ミレイは窓に近付く。
「………」
遠くて、暗くて
顔なんて見えるわけがない。
だが奇妙なことに犯人の予想がついてしまった。
数百メートル離れた窓を貫通する強力な銃器を、人の技とは思えない正確さで操る──
そんな男が黒髪から覗かせる蒼い危険な目が、見えたような気がした。

