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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第30章 欠けた愛を 抱きしめて

失うことを恐れる臆病な猛獣は、自身を制御しようと頑丈な檻の内に…ひとり、閉じ籠っていたのに
彼女がその足で、踏み込むことを選んだのだ。
独占的で身勝手な愛情──
男のサディスティックな欲望に火をつけた今、それを受け止めるしか彼女には道がない。
もし
檻から逃げ出すことができれば
そんな日が来るのなら……
男は再び、愛しい者を殺すだろう。
そうしてぽっかり欠けた胸を抱えて、苦しみながら孤独に生きるのだろう。
.......
“ …あんたは、何処にも…行くな…… ”
自身の上に股がり、とろけきった顔で涙と喘ぎを溢す彼女を見詰めながら
男は熱っぽい溜め息を吐き出し、口の端で微笑んだ。
「…ハァっ、ハァっ、………クク…」
彼は変わらず臆病だ。
それでも彼はもう、孤独ではなかった──。
────……

