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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第31章 Epilogue ── とある恋人たちの日常

「──…そこの…ハサミ」
「…?」
すると、カルロは天井から目を離さないまま
片手をさし出してぼそりと呟いた。
「……」
「…え…取れってこと?…???」
「……ん」
テーブルの隅に置かれたペンたてには、黒い柄のスタイリッシュなハサミが立ててある。
何を要求されているのか理解しきれないが、ミレイはそれを取って彼に渡してみた。
「はい、どうぞ」
「……」
「──ッ─!?…あ、ちょ!……ま、さか、ちょっと、ストップ!ストップ!」
「…っ…なに?…まだ文句( モンク )、あるの?」
「文句っていうか…っ まさかですけどカルロさん」
ハサミを受け取ったカルロは、その刃を迷うことなく自身の前髪にあてがっていた。
ミレイは紅茶のカップを放り投げん勢いで手放すと、大慌てて彼の手を止めた。
「それは駄目ですよ!? 絶対に!」
「…何故だ。俺に髪を切って欲しいんじゃ…なかったの」
ミレイの予感は当たっていたもよう。
彼はここで、自分で、…寝転がったまま
髪を切ってしまうつもりなようだ。

