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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第4章 求め合う心
十六歳の梨花はまだ男女の事については何も知らず、己れの並外れた美しさも全く意識していなかった。木綿の質素なチマチョゴリではあるが、ピンクの娘らしい明るい色目は梨花によく似合っている。
まだ成人前の彼女は長い黒髪を編んで後ろに垂らしている。梨花が袖をまくり上げ、白い腕を惜しげもなく晒して洗濯している姿を実は大勢の下男たちが物陰からひそかに眺めている―そのことを梨花は全く知らない。
梨花が来てからというもの、若い下男はもちろん、中年、壮年の既に所帯持ちの男たちまでもが色めきたった。従って、逆に女たちが梨花に冷たく当たるのは当然ともいえた。
昨日、そのいけ好かない家僕に尻を触られたときも、梨花は女中頭から手酷く怒られた。
挙げ句に
―お前が男どもに色目を使うから、こんなことになるのさ。
とまで言われた。
まだ成人前の彼女は長い黒髪を編んで後ろに垂らしている。梨花が袖をまくり上げ、白い腕を惜しげもなく晒して洗濯している姿を実は大勢の下男たちが物陰からひそかに眺めている―そのことを梨花は全く知らない。
梨花が来てからというもの、若い下男はもちろん、中年、壮年の既に所帯持ちの男たちまでもが色めきたった。従って、逆に女たちが梨花に冷たく当たるのは当然ともいえた。
昨日、そのいけ好かない家僕に尻を触られたときも、梨花は女中頭から手酷く怒られた。
挙げ句に
―お前が男どもに色目を使うから、こんなことになるのさ。
とまで言われた。