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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第4章 求め合う心
「判りました。これからは、できるだけ叱られないように頑張ります」
笑って、少しおどけて誓いの仕種のように片手を胸に当てると、南斗も笑いながら頷く。
「そう、そなたは、それでなくてはいけない。いつも明るく笑っている顔がそなたには似合うぞ。ところで、そなたの名をまだ訊いていなかったな」
南斗の言葉に、梨花は思わず〝梨花〟と応えそうになり狼狽した。
「海棠です」
「海棠―、姓は?」
「崔氏です」
「崔海棠、良い名前だ」
海棠、海棠と南斗は梨花の仮の名前を繰り返す。
不思議なことに、いつもは〝海棠〟と呼ばれても、どこか馴染みのこない、しっくりとしない気持ちなのに、南斗に名を呼ばれただけで、その名前が世にも得難いもののように思えてくる。
笑って、少しおどけて誓いの仕種のように片手を胸に当てると、南斗も笑いながら頷く。
「そう、そなたは、それでなくてはいけない。いつも明るく笑っている顔がそなたには似合うぞ。ところで、そなたの名をまだ訊いていなかったな」
南斗の言葉に、梨花は思わず〝梨花〟と応えそうになり狼狽した。
「海棠です」
「海棠―、姓は?」
「崔氏です」
「崔海棠、良い名前だ」
海棠、海棠と南斗は梨花の仮の名前を繰り返す。
不思議なことに、いつもは〝海棠〟と呼ばれても、どこか馴染みのこない、しっくりとしない気持ちなのに、南斗に名を呼ばれただけで、その名前が世にも得難いもののように思えてくる。