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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第4章 求め合う心
「私は計算や算術は得意なのだが、生憎と学問は苦手でねえ。難しげな字の並んだ書籍を見ただけで、今でも冗談でなく頭痛がしてくるんだよ。まあ、私の父は、商人の息子が学問よりは算術が得手で良かったと日頃から鷹揚に構えてくれているんで、正直、気が軽い」
「では、宗先生とは、どのような繋がりがあるのですか?」
それは純粋な好奇心から発した問いであった。
南斗は矢継ぎ早の質問にも気を悪くする風はない。
「うん、それはまあ、幾ら商人の倅でも読み書きはそれなりにできないといけないからね。マ、商売の基本は、計算よりはまず読み書きが先だし、このままではいけないと宗先生の許に通わされたんだ。父上と宗先生は昔からの知り合いゆえ、無理に頼み込んで出来の悪い弟子を押しつけたってわけだ」
「出来の悪い弟子―、若さまがですか?」
「では、宗先生とは、どのような繋がりがあるのですか?」
それは純粋な好奇心から発した問いであった。
南斗は矢継ぎ早の質問にも気を悪くする風はない。
「うん、それはまあ、幾ら商人の倅でも読み書きはそれなりにできないといけないからね。マ、商売の基本は、計算よりはまず読み書きが先だし、このままではいけないと宗先生の許に通わされたんだ。父上と宗先生は昔からの知り合いゆえ、無理に頼み込んで出来の悪い弟子を押しつけたってわけだ」
「出来の悪い弟子―、若さまがですか?」