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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第4章 求め合う心
もう、痛みは殆ど消えている。こうして痛みが去った後は、嘘のようなのに、癪の発作はいつも梨花をこの上なく責め苛む。
「いつもはよく効く常備薬を持ち歩いているのですけれど、今日に限って忘れてしまいました。でも、もう痛みは治まりましたから、平気です」
「今度からは、忘れずにちゃんと持って出かけるのだよ?」
幼い子に言うように念を押す南斗の顔は、真剣そのものだ。その整った面に浮かんだ気遣わしげな表情は、梨花を心底から案じるものだった。
「それにしても、今日は一体、どこに行っていたんだい?」
今初めて気づいたように改めて訊ねられ、梨花は笑ってしまう。
「奥さま(マーニム)の妹君のお宅へお届け物をお持ちした帰りなのです」
なるほどね。南斗が肩を竦めた。
「いつもはよく効く常備薬を持ち歩いているのですけれど、今日に限って忘れてしまいました。でも、もう痛みは治まりましたから、平気です」
「今度からは、忘れずにちゃんと持って出かけるのだよ?」
幼い子に言うように念を押す南斗の顔は、真剣そのものだ。その整った面に浮かんだ気遣わしげな表情は、梨花を心底から案じるものだった。
「それにしても、今日は一体、どこに行っていたんだい?」
今初めて気づいたように改めて訊ねられ、梨花は笑ってしまう。
「奥さま(マーニム)の妹君のお宅へお届け物をお持ちした帰りなのです」
なるほどね。南斗が肩を竦めた。