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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第6章 兄の心
憤怒の形相で梨花と南斗を睨みつけるソルグクとは対照的に、南斗は淡々と言い、布包みを梨花の手に握らせた。
「今日のとろは、兄上の仰せのように帰るよ」
静かな声音で告げ、南斗はソルグクに一礼し、踵を返した。
「馴れ馴れしく兄などと呼ぶな。俺はお前の兄上とやらになった憶えはねえ」
ソルグクが声を限りに叫んだときだけ、南斗の歩みが止まった。
しかし、すぐに何事もなかったかのように、南斗は悠々とした脚取りで歩み去っていった。
「若さま」
梨花がすぐにその後を追い、ソルグクは抑えようのない怒りともどかしさに押し潰されそうになりながら、遠ざかる妹の姿を見送った。
しばらくは放心したようにその場に立ち尽くしていたのだが、彼はやがて意を決したように二人の後を追った。
「今日のとろは、兄上の仰せのように帰るよ」
静かな声音で告げ、南斗はソルグクに一礼し、踵を返した。
「馴れ馴れしく兄などと呼ぶな。俺はお前の兄上とやらになった憶えはねえ」
ソルグクが声を限りに叫んだときだけ、南斗の歩みが止まった。
しかし、すぐに何事もなかったかのように、南斗は悠々とした脚取りで歩み去っていった。
「若さま」
梨花がすぐにその後を追い、ソルグクは抑えようのない怒りともどかしさに押し潰されそうになりながら、遠ざかる妹の姿を見送った。
しばらくは放心したようにその場に立ち尽くしていたのだが、彼はやがて意を決したように二人の後を追った。