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第7章 哀しい現実

「若さまには、お嬢さまが生きていらっしゃることをお話ししていません。尹家のご嫡子として新しい人生を順調に歩むあの方に、亡くなったと信じ込んでいる妹君が生きていると今になって告げるのが果たして良いのかどうか。ただ若さまのお心を乱すだけだと思いました。尹家にお仕えする私の姉にも、そのことは話していません。こちらにお嬢さまらしい娘が―蒸し饅頭売りのソギョンの許に、ある日突然、身寄りのない幼い娘が現れ、養女となったと知ったときは身体が震えました。その娘があなた方の前に現れたのが、丁度、梨花さまが消息を絶った時期と一致していたのです」
　ジュソンはソルグクが貸した手巾で涙と洟でぐしゃぐしゃになった顔を拭いた。
「この世で二人きりのご兄妹です。どうか、若さまのお元気でいらっしゃることだけでも梨花さまにお伝え下さい」
　ジュソンはくどいほど幾度も繰り返した。