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第7章 哀しい現実

　もっとも、女中の兄というよりは、想い人の兄として接しているのは判っていたが。
　ソルグクは小さく息を吸い込み、ひと息に言ってのけた。
「言い方を変えましょう。若さま、もう、これ以上、うちの妹に近づかないで貰いたい」
「それでは、私もこの際、はっきりと言います。私は海棠と別れるつもりはありません。私たちは互いに必要とし合っている。たとえ、あなたが何を言おうと、私たちは結婚するつもりでいます」
　南斗もこれまでと腹を括ったらしい。堂々としたその態度は、流石に漢陽一の大商人、大行首よりも器が大きいと称されるだけあった。
「俺は、梨花があんたと結婚するのはだけは絶対に認めない。何があろうと、全力で阻止して見せる」
「何故なんだ？　何故、あなたは、そうまで頑なに私たちの仲を裂こうとするんだ？　私は必ず彼女を幸せにするつもりだ。私の生命に賭けて誓っても良い」