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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第7章 哀しい現実
我が身を実の息子として扱い、すべて―安定した生活を与えてくれた養父母に心で申し訳ないと思いつつも、ひそかに妹のゆく方を探らずにはいられなかった。
尹北斗は漢陽の経済に多大な影響を及ぼすほどの力を持っている。義理の父となった北斗は南斗に商人としてのいろはをきっちりと仕込んだ。
今の自分があるのは尹家の父母のお陰ゆえ、過去はすべて棄て去り、尹氏の興隆に力を注ぎ、新しい両親に息子として孝養を尽くすべきだと思う一方で、ずっと行方不明の妹を心で求め続けていた。
事件後、亡骸の見つからなかったのは林家の二人の子どもたちと、家僕の三人だ。乳母は変わり果てた姿となり庭で発見され、ひとたびは逃げ出したが、途中で賊たちの手にかかって亡くなったのだと知れた。
骸がないという事実は、妹がどこかで生きているのではないかという一抹の可能性を示唆していた。
尹北斗は漢陽の経済に多大な影響を及ぼすほどの力を持っている。義理の父となった北斗は南斗に商人としてのいろはをきっちりと仕込んだ。
今の自分があるのは尹家の父母のお陰ゆえ、過去はすべて棄て去り、尹氏の興隆に力を注ぎ、新しい両親に息子として孝養を尽くすべきだと思う一方で、ずっと行方不明の妹を心で求め続けていた。
事件後、亡骸の見つからなかったのは林家の二人の子どもたちと、家僕の三人だ。乳母は変わり果てた姿となり庭で発見され、ひとたびは逃げ出したが、途中で賊たちの手にかかって亡くなったのだと知れた。
骸がないという事実は、妹がどこかで生きているのではないかという一抹の可能性を示唆していた。