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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第8章 終焉
むろん、妹は花嫁衣装を着る意味も、嫁ぐということも理解してはいない。ただ花嫁というものが華やかな衣装を身につけることができるから、純粋に憧れているのだ。
「私は大きくなったら、お兄さまのお嫁さんになるの。この花冠をつけて、お兄さまに嫁ぐわ。約束よ、お兄さま。私が大人になるまで、ちゃんと待っていてね」
机に向かってじっと書物を読むのが苦手な兄と比べて、妹は大の本好きで、兄にちょっ中〝本の虫〟とからかわれる。
―お前は本当に変わった奴だな。本の虫だなんて、将来、大きくなったって、誰も嫁には貰ってくれないぞ?
―あら、私はお兄さま(ニヨンニム)の妻にして頂くのだから、構いはしないわ。
―冗談じゃない。お前のように一日中、本に囓りついてるような女なんか、死んでもご免だ。第一、俺が読めない本でも、お前はすらすらと読みこなせる。亭主よりも頭の良い女房なんぞ、貰うものじゃない。
「私は大きくなったら、お兄さまのお嫁さんになるの。この花冠をつけて、お兄さまに嫁ぐわ。約束よ、お兄さま。私が大人になるまで、ちゃんと待っていてね」
机に向かってじっと書物を読むのが苦手な兄と比べて、妹は大の本好きで、兄にちょっ中〝本の虫〟とからかわれる。
―お前は本当に変わった奴だな。本の虫だなんて、将来、大きくなったって、誰も嫁には貰ってくれないぞ?
―あら、私はお兄さま(ニヨンニム)の妻にして頂くのだから、構いはしないわ。
―冗談じゃない。お前のように一日中、本に囓りついてるような女なんか、死んでもご免だ。第一、俺が読めない本でも、お前はすらすらと読みこなせる。亭主よりも頭の良い女房なんぞ、貰うものじゃない。