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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第3章 運命の邂逅
「今はそんなことを言ってる場合じゃない。海棠、親父が大変なんだ」
 そのひと言に、梨花は敏感に反応した。
「なに? お父さんが大変だって、どういうことなの?」
 流石に、こうなると、男の存在も忘れていた。
「ねえ、お兄ちゃん。お父さんがどうかしたっていうの」
「急に頭が痛いって苦しみ出しんだ。丁度、俺が帰ってからのことだったんで、不幸中の幸いだったよ。かれこれ一刻くらい、頭が痛いって言ってたんだが、今は眠ってる。高鼾
をかいてるのが、どうも妙で気になるんだ。隣のおばさん(アジモニ)は、卒中じゃないかって。ほら

おじさん(アデユツシ)が卒中で亡くなっただろ、あのときのおじさんの様子に親父の症状がそっくりだって言うんだよ」
「早くお医者さまに診て貰わなくちゃ」
 咳き込む梨花に、ソルグクが黙ってかぶりを振る。
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