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君が泣かないためならば
第2章 ミ (side紗江子)
「紗江子ちゃんは、どうなの?」
「浅岡さん?」
今日はビールがよく進む。
「私もどうにもならない。
やめなきゃいけないのはわかってる。
でもね。それが正論だからって辞められるほど大人じゃないんだよね」
そんな私の言葉に明日香は小さく笑った。
「私たち、28だよ?いま女としていい時期なのにね」
「ほんと。もったいない」
「いい恋しないとね」
「いい恋したいなぁ」
私たちが一歩踏み出せばいいのかもしれないけど
その一歩はとてつもなく重い一歩で。
踏み出す勇気さえ、その時の私たちにはなかった。
そして―――
数日後、会社に行くと浅岡さんの奥さんが妊娠した話が
社内で広まっていて
秘書課の私のところに届くのもそう遅い時間ではなかった。
悲しいというより、呆れた。
私の3年間は何だったんだろう。
私は本気で好きだった。
だから、せめて。
せめて、あなたの口から聞きたかったよ。
「浅岡さん?」
今日はビールがよく進む。
「私もどうにもならない。
やめなきゃいけないのはわかってる。
でもね。それが正論だからって辞められるほど大人じゃないんだよね」
そんな私の言葉に明日香は小さく笑った。
「私たち、28だよ?いま女としていい時期なのにね」
「ほんと。もったいない」
「いい恋しないとね」
「いい恋したいなぁ」
私たちが一歩踏み出せばいいのかもしれないけど
その一歩はとてつもなく重い一歩で。
踏み出す勇気さえ、その時の私たちにはなかった。
そして―――
数日後、会社に行くと浅岡さんの奥さんが妊娠した話が
社内で広まっていて
秘書課の私のところに届くのもそう遅い時間ではなかった。
悲しいというより、呆れた。
私の3年間は何だったんだろう。
私は本気で好きだった。
だから、せめて。
せめて、あなたの口から聞きたかったよ。