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たとえそこに、愛がなくとも
第3章 理不尽な嫉妬
こんな人間、好きになったって仕方ない。
彼にとって私は脅し相手でしかない。私は口止め料を身体で払っているだけ。最低な関係だ。
そもそも彼は風俗店の客で、店で出会った相手で、お互いの欲を満たすためにいつも抱き合っていて。
私たちにとってその関係が正しかった。それ以上を求めるのは間違えだ。
でもそれでよかった。それだけで十分だった。満たされるはずだった。
なのに、どうして物足りないと感じてしまうのだろう。どうしてこんな切ない気持ちになるのだろう。
夢中で彼を求めているはずなのに、寂しいという感情だけが消えない。
彼に、愛情を求めてしまっている。
きっとあの頃からずっとそうだった。
彼の愛情がほしい、彼に愛されたい。彼と、身体の関係以上になりたい……。
それを望むのは私だけなの?どうしてこんなに求めてくれるのに愛してはくれないの?
「ねえ、類さん」
「なんだ」
「類さんは……」
ーー私のこと、好きになってくれますか?
なんて、何バカなこと聞こうとしているんだろう。
私は自分の思考に苦笑した。
「……なんでもない。ねえ、もう一度抱いて?」
私は彼の上にまたがり、彼のモノをそっと撫でた。
「……っ、バカ、くすぐったいだろう」
「大丈夫よ。どうせすぐ気持ちよくなるから」
「……お前、今日はやけに積極的だな。脅されているくせに」
「別に、ただこうなった以上はこの関係を自分なりに楽しもうと思って」
「ポジティブなやつだな。じゃあその手で俺をもう一度その気にさせてみろよ」
「私を誰だと思ってるんですか?元風俗嬢ですよ」
「そんなんじゃ全然足りない。もっと、感じさせろよ」

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