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雪の華~ Memories~【彼氏いない歴31年の私】
第3章 LessonⅢ 悪意ある噂
 それからスタジオに戻った輝は再び着てきた服に着替え、ドレスをハンガーにかけた。アップにした髪はそのままにティアラを壊さないように丁寧に外して鏡の前のテーブルに置いた。
「良かったら、僕の店で熱いコーヒーでもいかがですか?」
 吉瀬の誘いは魅力的なものだったが、輝は微笑んで首を振った。
「ありがとうございます。でも、今日はもうこれで失礼します」
「判りました。じゃあ、気をつけて。プリントが仕上がったら、またご連絡しますよ。大体、二週間くらいかかると思います」
「愉しみにしてます」
 輝は軽く頭を下げ、スタジオの扉を閉めた。コーヒーを誘われて断った時、吉瀬の端正な風貌を一瞬、軽い失望がよぎったように見えたのは自分の都合の良い勘違いだろうか。
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