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雪の華~ Memories~【彼氏いない歴31年の私】
第1章 LessonⅠ 憂鬱な夜には
法事が終わり、叔母夫婦と両親は少し離れた墓参りに行った。裕太と輝は二時間後にN駅の地下街で両親たちと合流することになった。そこで落ち合い、昼食を一緒に食べようということになったのだ。
裕太は従兄といっても、二週間違いで生まれた同い年の男の子だった。どうやら、その日、彼は美人の姉に会えるのを愉しみにしていたらしい。が、生憎なことに、姉は既に結婚して最初の子を妊娠していた最中であった。悪阻が烈しくて入院していた姉は、法事に参加できなかった。
姉の不在を知らなかったらしい裕太は露骨に落胆し、輝といても終始、不機嫌な態度を隠そうともしなかった。N駅まではバスで十数分ほどかかる。二人でバスに乗り込んだ最中、裕太は友人と遭遇したらしい。
―幡野、そっち、お前の彼女?
好奇心を剥き出しにして訊ねてきた友人に、裕太は滑稽なほど狼狽えた。
裕太は従兄といっても、二週間違いで生まれた同い年の男の子だった。どうやら、その日、彼は美人の姉に会えるのを愉しみにしていたらしい。が、生憎なことに、姉は既に結婚して最初の子を妊娠していた最中であった。悪阻が烈しくて入院していた姉は、法事に参加できなかった。
姉の不在を知らなかったらしい裕太は露骨に落胆し、輝といても終始、不機嫌な態度を隠そうともしなかった。N駅まではバスで十数分ほどかかる。二人でバスに乗り込んだ最中、裕太は友人と遭遇したらしい。
―幡野、そっち、お前の彼女?
好奇心を剥き出しにして訊ねてきた友人に、裕太は滑稽なほど狼狽えた。