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雪の華~ Memories~【彼氏いない歴31年の私】
第2章 LessonⅡ 心ときめく記念日
だが、もう、輝には止められなかった。何故、吉瀬のような誰が見ても魅力的だと思える男を彼の妻が棄てたのか、その理由が知りたかった。
吉瀬は今度はもう逡巡を見せなかった。
「昔は確かにサラリーマンだったんですよ」
と、輝でもよく知る大手家電メーカーの名前を挙げた。
「そこで営業部長までいったんですけど、それこそ仕事ひと筋でしたね。だけど、ある日、急にそんな仕事一辺倒の生活に嫌気が差して、辞表を出したんです」
ややあって、彼は淋しげに笑んだ。
「女房が怒るのも無理はなかった。俺は勤め人だった頃は、仕事しか眼中になくて、それが嫌になって突然、辞めるときも、あいつにひと言の相談もしなかったんです」
それは確かに吉瀬の妻が怒るのも頷けた。突然、夫が辞表を出して職を失う。辞めさせられたのならともかく、そうでない限り、妻であれば理不尽で責任感のない行為に腹を立てるはずだ。
吉瀬は今度はもう逡巡を見せなかった。
「昔は確かにサラリーマンだったんですよ」
と、輝でもよく知る大手家電メーカーの名前を挙げた。
「そこで営業部長までいったんですけど、それこそ仕事ひと筋でしたね。だけど、ある日、急にそんな仕事一辺倒の生活に嫌気が差して、辞表を出したんです」
ややあって、彼は淋しげに笑んだ。
「女房が怒るのも無理はなかった。俺は勤め人だった頃は、仕事しか眼中になくて、それが嫌になって突然、辞めるときも、あいつにひと言の相談もしなかったんです」
それは確かに吉瀬の妻が怒るのも頷けた。突然、夫が辞表を出して職を失う。辞めさせられたのならともかく、そうでない限り、妻であれば理不尽で責任感のない行為に腹を立てるはずだ。