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遅咲きのタンポポ
第14章 遅咲きのタンポポ
ホテルを出て、また車に乗り込む。

「一回寝たくらいで、って思われたら嫌なんだけど、沙織ちゃん。俺との、付き合い、結婚を前提って事でも、いい?」

また眼鏡をかけながら、祥悟くんが私の顔を覗き込む。

「…結婚?」

私にしたら、願ったり叶ったりだけど…祥悟くんこそ、それでいいの?

「母さんが、沙織ちゃんの事、すごく気に入ってたから。やっぱ、俺には沙織ちゃんしかいないと思うんだ。もちろん、今すぐにとは言わないから。」

「何か、お母様、お嫁さんとか言ってたね…」

「あの人辛口だから。
女の子をあそこまで気にいる事ないんだよ。俺、マザコンじゃないつもりだけど、やっぱ結婚となると、親の反対押し切って駆け落ちみたいなのよりは、みんなに祝福されて、ってのがいいなぁと思ってるからさ。」

それは、私もそう思う。
大恋愛の果てに二人で逃避行みたいなのって、確かにロマンチックではあるけれど、憧れるかと言われたらそうでもない。

先で子供が生まれたり、何かと親や親戚を頼りたいシーンはあると思うし、どうせなら祝福されて、幸せになりたいもん。

それにしても、あのお母様が辛口?
どこが?

「俺、割と彼女を家に連れてくタイプなんだけど、あそこまで手放しで喜んだの、沙織ちゃんが初めてだよ。」

なんですと⁉︎

「多分、空港まで迎えに来てくれたの、相当ポイント高かったんじゃないかな。朝から1人で空港までなんて、今まであった女の子じゃありえない行動パターンだったし。やっぱ、それって俺のこと想ってくれてる証拠じゃない?だからだと思う。」

「それより、あのお母様が辛口って?」

「あの人、おっとりして見えるから、初対面だと世間知らずのお嬢様が結婚してああなったと思われがちだけど、元は新地のホステスだからね。」

なんと⁉︎
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