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遅咲きのタンポポ
第6章 遅すぎた自覚
その言葉にドクンッと心臓が跳ね上がる。

「終わらなくて、良いですよ…
私も、もっと武井さんのこと、知りたいです…」

「ダメだよ。俺は、居なくなっちゃうのに。
そんな、思い出作りみたいなのは嫌なんだ。
君とは、もっと、しっかり向き合いたい…いいかげんな事は、したくないんだ…」

「そしたら。私、待ってます。
2年でも、3年でも、武井さんが帰って来るの。
でも、強制はしません。向こうで武井さんには出会いがあるかもしれないし。帰ってこなくても、帰ってきた時に別の大切な人が出来てたとしても、恨んだりしません。
私が、想いを伝えるのが遅かっただけなんだって…自業自得だって、諦めます。
だから、もし、帰って来た時に、あなたの隣が空いてたら、その時は、私を彼女にして下さい…」


泣きながら、精一杯の、告白をした。

鼻をすすりながら、ティッシュで涙を拭く。

「沙織ちゃん…俺の台詞、取らないでよ…」

武井さんの声もくぐもって聞こえた。

「今すぐ逢いたいけど…今逢ったら、決心が揺らぐから、もう、逢わない。
…逢えない。…ごめん…」

新たな涙が頬を伝う。

「わかりました…でも、一つだけ、約束して下さい。
帰国が決まったら、日時を知らせてください…その日まで、さようなら、です…」

「わかった…」

いつの間にか、通話は終わっていたけれど、
私はずっと携帯を握り締めていた。


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