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遅咲きのタンポポ
第12章 告白
「寒いから車にしようか。」
玄関前のクローゼットを開け、カーキ色のモッズコートを出して羽織り、マスタードのストールを巻く。
小物のセレクトまで完璧だ。

再び玄関からガレージに向かう。

「武井さんの車も、このガレージに入ってるんですか?」

武井さんは頷いて、

「1台だけね。俺のはコレだけ。後は親父の。」

と言ってキーのリモコンを押すと、ベンツのキーが反応して一回ハザードが点滅した。

スポーツカータイプで、色はシルバー。
ツーシーターで、シートの色は赤と黒のツートン。

カッコいいけど、武井さんの雰囲気にはちょっとそぐわないというか、少しハードな感じで意外だった。
でもベンツに乗せてもらうのなんて初めてでドキドキする。

「どうぞ」

当然のように助手席のドアを開けてくれ、座ろうとしたら、スポーツカータイプだからだろうか、想定よりシートの位置が低くて、ボスンッと落ちるように沈み込んでしまった。

「ひゃっ!」

スカートがはしたないほど捲れ上がって太腿まで露わになり、慌てて スカートを抑える。

「大丈夫!?」

武井さんが驚いて手を貸してくれようとしたけど、転んだわけじゃないから、なんとか体勢は整えられた。

「慣れてないと座りにくいよね。スカート、気になるならどうぞ?」

そう言って首に巻いていたストールを外して貸してくれる。やっぱりフェミニストだなぁ…

貸してくれたストールは、カシミヤかパシュミナか、すごく滑らかで、ずっと触っていたいくらい肌触りがいい。
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