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スーパーヒーロー
第1章 僕はオタク

いじめっ子は僕のスケッチブックをパラパラとめくる。
さすがに僕でも、自分の絵を安易に見られるのには多少の抵抗があった。
(ああ、そんな風に乱暴にめくったら紙がボロボロになるだろ!!!)
「オタクのくせに芸術か~・・・お、ナンだ、コレ?」
やつは僕の描いた、とある絵を指さす。
そこには、僕の描いた特に気に入っているヒーローがいた。
「せ・・・正義の、ヒーローだ」
僕は精一杯相手を睨む。
「・・・プっ・・・せ、正義のヒーロー????ハハハっ、ハハハハハハ!!!」
「コイツ、何言ってんだー???」
「いまどき、こんな、ハハハ、おもしれー!!!」
「さすがオタクだな!」
ハハハハハハハハハハハハハハハハハ・・・・
いじめっ子たちはそう言いながら大笑いして帰っていった。
僕は、自分のヒーローを馬鹿にされたような感覚がしばらくぬぐえなかった。
さすがに傷ついた。だって、あんなに笑うことないだろ。
しかし、スケッチブックが無事だったと考えれば、安堵のため息はでるばかりだ。
もしもトイレになんか流されたりしたら・・・。
考えるだけでも恐ろしい。
ちなみにその日描いていて、いじめっ子たちに馬鹿にされたヒーローは、
グリーンベースと言って音楽で敵を倒すヒーローだ。
自分で作ったにしても、グリーンベースはとてもかっこいいヒーローだ。
ヒーローらしい服装はしていないんだけど、黒づくめのコートに所々緑の模様が
施してある。デザインにも凝った。
僕の中での唯一の傑作でもある。
彼のことは気に入っている。
「はぁ・・・・」
絵を完成させると決まってため息がもれる。
ああ、こんな人が現実世界にいたらなぁ・・・という願いのため息でもある。
決して恋をしているわけではない。
『ジョシュア・・・ジョシュア・・・君は強い子だ』
『・・・グリーンベース』
『ジョシュア、何があってもめげるんじゃない』
『グリーンベース、僕っ・・・』
『シーっ、言いたいことは分かる。だが忘れてはいけない』
『・・・なにを・・・?』
『・・・俺がずっとそばにいる』
『グリーン・・・ベース・・・』
『ジョシュア・・・』
『っ・・・もっと・・・名前・・・読んで』
『ジョシュア・・・ジョシュア・・・』

