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サイドストーリー5
第19章 君が泣かないためならば
おまけ***

「じゃぁ、さえちゃん・さっちゃん・さえさえ」
「はぁぁ?」

俺がどんどん紗江子の呼び方を提案するたびに
司の機嫌が目に見えて悪くなる。

「じゃぁ、可愛く、ちゃえこ・ちゃえちゃん・ちゃーこ?」
「兄貴、いい加減にしろよ・・・」

ちょっと面白くなってきた。

「じゃぁ、面白く、さえっぺ・さえっち・さえりん?」
「・・・・」

はじめはキョトンとしてた明日香と紗江子がニヤニヤしだした。

「あのさぁ、兄貴。俺の言ってる意味わかる?」
「わかるよ。わかるから、選択肢を考えてやってるんだ。どれがいい?司が選んでいいよ」
「・・・・」

「紗江、にするか?」
「ダメだ!」

「司は何を言っても駄目だっていうんだな」
「・・・・」
「じゃぁ、いっそのこと武田さん、でいいか」
「はっ?」
「名前がだめなら苗字しかないだろ?」

「・・・・だめだ。紗江子さんは『森川』だ」
「でも、森川さん、とは呼べないだろ?」
「・・・・・」

「そうね。会社でもし呼んじゃったら困るしね」
明日香がニヤニヤして言う。
「そうね。武田さんでいいわ」
紗江子もニヤニヤして言った。

「・・・・」
そんな二人に司が黙り込む。

「じゃぁ、武田さん、な」
「そうね」
「そうしましょう」

そう言う俺たちに
「・・・いいよ。今まで通りで」
そうふてくされた司がいた。

紗江子と明日香と俺はそんな司を見て大笑いした。


END****





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