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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第7章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚
─バンッ‼
「いい加減にしてください、社長。またですか?またなんですか!!」
「………は?」
渚のオフィスの社長室に、とあるオトコの悲鳴にも似た叫びが響き渡っていた。
「またとはなんだ。いきなり入ってくるなり騒々しいぞ、明智。タバコが不味くなる、出てけ…」
「なっ…!!」
「5……4……3………」
「ッ───!!!!!」
腰で窓際にもたれ掛かりライターの蓋をピーンと小粋に弾いた渚が、急に騒々しくなったその先に鋭い眼光を走らせる。
無論そこには、彼の部下である専務の明智の姿があった。
入室早々なにやら取り乱し激しく物申していた彼だったのだが、理不尽なカウントダウンを始める渚に見事に論破され、やむ無く一旦社長室を出ていく羽目になる。
「………ハァ…」
パタリと社長室の扉が音を立てる。再び訪れた静寂に、渚は深く吸い込み吐き出した紫煙に目を細めた。
すると、
─コンコン…
しばし間を置くこと数秒、今度はどこか控えめなノックが彼の耳にもたらされる。恐らく入室を施せば、現れるのは決まって一人のオトコで間違いないだろう。
「何用だ、明智」
「ゴ、ゴホン…さ、先ほどは失礼いたしました」
「……入れ」
案の定、そう声をかければ些か気まずそうに自分のもとへやってくる明智の硬い表情に出くわす。それを何食わぬ顔で迎え入れた渚はなにやら愉快な様子で鼻を鳴らした。