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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第4章 バレンタインの事情♡その③…渚…
葵直筆の反省文は所々涙で滲んでいた。
ところがだった。
泣く泣くそこまでしたオトコが今朝久しぶりにやらかしやがったと思えば、原因は間違いなくこれだろう…
自己主張が半端ない神秘的な夕空色の石の下にはご丁寧にキスマーク。
─タンザナイトは雅の誕生石だ。
マーキングの容疑者が犯人に確定したところで、出かかった言葉を押し退け、そんな言葉が口から飛び出していく。
「なあ…」
「ッ…」
オレがドSだって!?
お前はそんな風にオレを言うけどな…
それはオレのせいじゃない。
オレをそうさせるお前が悪い。
今一度、先程もした根拠のない言い訳を唱えつつ、舌先でピアスを揺らして煽ってやると腕のなかの体温が更に上昇する。
千隼が許してほしいと肩に顔を埋めてきたところで容赦なく耳の下に噛みつくオレ…
見つけた雅の跡を塗りつぶすように甘い声を聞きながら唇を這わせる。
しかし、寝不足がたたっているせいなのか、徹夜続きの疲れのせいなのか、葵とは原因は違えど弱ってるのはオレも一緒で…
「千隼…」
葵の匂いを掻き分けながら彼女の匂いを探し求める自分の声は想像以上に弱々しかった。
オレはそれを誤魔化すように唇を重ね、甘い柔肌を抱いたままベッドに身を沈める。
あーあ…
こんなの全然スマートじゃねぇし…
こいつにはいつも通り余裕ぶってるように見えるだろうけど、本当は余裕なんてぜんぜんねぇんだ。