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君をこんなに愛してる
第1章 Prologue:手紙
《 貴峰 絢人 》
差出人の名前に目を通したわたしは、ざわざわと騒ぎだす胸を抑えて手紙を持っていた。
──早く、読んで
──駄目だ、読んではいけない
わたしの中で二つの声が叫んでいる。
中を見るのはやっぱり怖くて
封筒を開ける指が震えて仕方がないけれど
でも……
「…絢人…さん…?」
わたしは便箋を取り出して、そこにつづられた文字を読んでしまった。
「……栞?」
「……っ」
便箋を手に立ち尽くすわたしの後ろでは
《 貴方 》がこちらを向いて
不安の色をその顔に浮かべていた。